楽天証券の国内株式手数料コース「超割コース」に、「大口優遇」という制度が設けられています。これを使うと、信用取引の手数料が無料になります。システムトレードに取り組む場合、これを利用すると取引コストが最安になりますので、ある意味必須のツールとなります。なお、当然のことながら、大口優遇の制度は優待取りでも利用可能です。以下に、大口優遇の獲得方法について記載します。なお、大口優遇の達成条件は3つ用意されていますが、ご紹介するのは、そのうち最も簡単に達成できる「本日の新規建約定金額の合計が3,000万円以上」です。

1.やり方(1回転? 2回転?)を選択する

準備できる資金量によって、1回転・2回転のどちらかを選びます。

1回転・・・買建+売建 → 返済 という形で、1回のクロス取引で完成させます。

2回転・・・前場に買建+売建→返済、後場に再度買建+売建→返済 という形で、1日に2回のクロス取引で完成させます。

必要な資金量は、1回転の場合で約1200万円、2回転の場合で約600万円となります。

2.銘柄を選定する

出来高が多く、値動きが乏しい銘柄で、かつ、50単元未満で売買代金が1600万円(1回転の場合)(2回転の場合は800万円)以上になる銘柄を選びます。私は、いつもトヨタ自動車(7203)でクロスを振っています。

※ 1回転の場合、トヨタの株価を8000円とすると、8000円×2000株=1600万円、売り買い合計で3200万円となりますので、無事3000万円の要件を満たすことになります。2回転の場合は、8000円×1000株=800万円、売り買い合計で1600万、このクロスを2度完成させることで3200万円となります。

上記計算で分かるように、1回転の場合は概算約定代金が1600万円(下記、売り注文の青枠の部分を確認して下さい)、2回転の場合は800万円を超えるような株数で発注することになります。

3.手数料コースを確認する

大口優遇は「超割コース」の制度ですので、手数料コースが超割コースになっていることを確認します。「マイメニュー」→「お客様情報一覧」の中の「各商品に関する設定」の中の「国内株式」をクリックすると、手数料コースが確認可能です。ここが「いちにち定額コース」になっている場合は、「超割コース」に変更して下さい。翌営業費から変更が反映されますので、ここが「超割コース」になっていることを必ず確認するようにしましょう。

4.寄り付きまでに買建+売建のクロス注文を発注する

まず、売り注文を入れます。買い注文よりも売り注文を優先させる理由は、自分の売りたい銘柄の「売渡可能数量」が売り注文以上ない場合には、売り注文の発注ができないからです。注文入力は、国内株式→注文→信用取引の画面で行います。

赤枠の6か所を十分に確認して、発注すると、以下のような確認画面が表示されます。

赤枠部分を再度確認した上で発注します。「売り注文(いちにち信用)」「成行(本日中)で2000株」です。

次に、売り注文と同じ要領で、買い注文を入れます。

売り注文と同じように、赤枠の6か所を確認して注文を入れると・・・以下のように、「信用取引に関わるクロス取引になる可能性がございます。クロス取引を行う場合は、執行条件に「寄付」または「引け」をご指定ください。」という警告文が表示されます。

クロスしようとしているのにクロスに該当しますよ、クロスするなら・・・という文章は、日本語として論理的に破綻しているのですが(笑)、まあ、指示に従いましょう。具体的にどうするかと言いますと、執行条件の「本日中」を「寄付」に変更します。以下のような画面になれば大丈夫です。

売り注文の時と同様に発注すると、以下のような確認画面が表示されます。

赤枠部分を再度確認した上で発注します。「買い注文(いちにち信用)」「成行(寄付)で2000株」です。

売り注文・買い注文の発注が終了したら、注文一覧で再度チェックします。以下の画面です。

5.寄り付き後に、約定内容を確認する

9時を回ると東証の取引が開始され、寄り付きで約定となります。早速画面で確認してみましょう。「国内株式」→「注文」→「信用取引」→「注文照会・訂正・取消」で確認が可能です。

また、信用建玉一覧の画面で、売建・買建のそれぞれのポジションを確認することが可能です。

この画面を見ると、売建・買建ともに1600万円のポジションがあることが分かります。

これで、大口優遇の3000万円以上の建玉要件を満たしていますので、念のため大口優遇の達成状況を確認してみましょう。「設定・変更」→「手数料コースの確認・変更」で確認可能です。

無事に「信用新規建約定金額合計」が3000万円の要件を達成していることが分かります。

6.前場の間に、返済注文を発注する

ポジションの両建てを確認したら、これを決済する注文(返済注文)を入れます。信用建玉一覧から、赤枠の「返済」を選択することで発注が可能です。

次の画面で発注をしますが、ここは十分に確認しなければいけないポイントがあります。これを間違うと大きな損失が発生しますので、念には念を入れて、何度も確認するようにして下さい

画面のように、まずは赤枠の3か所を確認して下さい。「引け」「成行」で決済します。執行条件については、デフォルトで「本日中」が選択されています。そのまま発注すると、すぐに場に成行注文が出されてしまいますので、必ず「引成」の注文になっていることを確認して下さい。

売建の返済注文(買埋)の確認画面がコチラになります。

くれぐれも、執行条件が「引け成り注文」になっていることを確認して下さい。

同じように、買建の返済注文(売埋)を入れます。

確認画面がコチラになります。

注文一覧で確認します。

大丈夫そうですね。

前場が引けると、上記注文が約定になります。以下が約定画面になります。

7.注意点のまとめ

以上、大口優遇の獲得方法を解説しました。最も重要な点は、決済注文を「引成」とすることです。1回転の場合は、前場が引けた後に後場寄りの発注を入れることも可能ですので、この場合は場中に注文が場に流れてしまうことはありませんが、2回転の場合は、寄付のポジション解消の発注を前場中に行い前引けで決済、後場寄りのポジション解消の発注を後場のうちに行い大引けで決済という形を取らざるを得ませんので、どうしても場中に注文を発注する必要があります。

ここをミスると大きな損失に直結しますので、くれぐれも注意して頂きたいと思います。

※ 本稿については、記載にミスがあっても責任を負うことができません。オウンリスクで行って頂きますよう、お願いいたします。